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電気工事会社が​太陽光事業を​始める​前に​知って​おきたい​10項目

電気工事会社が​太陽光事業に​参入する​前に、​DC側の​知識から​現調、​測定器、​申請、​メンテナンスまで​押さえて​おきたい​10項目を​整理しました。

読了目安 8分
太陽光発電設備のパワーコンディショナ(PCS)

「電気工事が​できるのだから、​太陽光工事も​そのまま​できるはず」​——そう​考えて​太陽光案件を​ 引き​受け、​思わぬ​ところで​つまずいてしまう​電気工事会社は​少なく​ありません。​太陽光には、​ DC側の​知識、​パネル・PCS・ストリング設計、​系統連系、​発電確認、​メンテナンスなど、​ 一般的な​電気工事とは​異なる​固有の​知識が​必要に​なります。

とは​いえ、​「太陽光は​難しいから​やめた​方が​いい」と​いう​話ではありません。​電気工事会社は​ すでに​「電気を​安全に​施工する」と​いう​大きな​基礎を​持っています。​正しく​準備すれば、​ 太陽光は​事業領域を​広げやすい​分野です。​この​記事では、​これから​太陽光事業に​参入する​ 電気工事会社が、​着手前に​押さえて​おきたい​10項目を​整理しました。

1. まず​「どこまで​やる​会社なのか」を​決める

太陽光事業と​ひとことで​言っても、​業務範囲は​非常に​広い​ものです。

  • 施工のみ
  • 電気工事のみ
  • パネル施工+電気工事
  • 設計
  • 機器販売
  • 現地調査
  • 申請
  • メンテナンス
  • 発電診断
  • PCS交換
  • 住宅用
  • 産業用
  • 自家消費

これらを最初から​すべて​自社で​対応する​必要は​ありません。 まずは​自社の​得意分野 ​(電気工事、​施工力等)から​始め、​不足する​部分は​メーカー・商社・専門会社等と​連携する、​ と​いう​考え方で​十分です。​どこまでを​自社で​担い、​どこから​他社と​連携するかを​最初に​ 決めて​おく​ことで、​案件ごとの​役割分担や​見積もりの​範囲が​明確に​なります。

2. AC工事と​DC工事の​違いを​理解する

一般的な​電気工事の​経験が​あっても、​太陽光では​DC​(直流)​側の​理解が​重要に​なります。

  • 直流電圧
  • ストリング
  • 開放電圧​(Voc)
  • 動作電圧​(Vmp)
  • 短絡電流​(Isc)
  • MPPT
  • 極性
  • DCアーク
  • コネクタ
  • 絶縁

特に​注意したいのは、太陽光設備は​「ブレーカを​切れば​すべて​無電圧に​なる」とは​ 限らないと​いう​点です。​日射が​ある​あいだ、​パネル自体が​発電を​続ける​ため、​AC側を​ 遮断しても​DC側には​電圧が​残ります。​この​特有の​危険性を​理解したうえで、​必ず​有資格者が、​ メーカーの​施工要領・社内の​安全手順に​従って​作業する​必要が​あります。​この​記事では、​ 具体的な​活線作業の​手順は​扱いません。

3. パネル・ストリング・PCSの​基本設計を​覚える

太陽光の​機器選定では、​次の​関係性を​理解しておく​必要が​あります。

  • パネルの​Voc・Vmp・Isc・Imp
  • 直列枚数・並列数
  • PCSの​最大入力電圧
  • MPP​T動作電圧範囲
  • PCSの​入力電流
  • MPPT数
  • 接続容量

「パネル容量○kWだから​PCS○kWを​付ければよい」と​いう​単純な​話ではありません。 低温時には​パネルの​Vocが​上昇する​など、​考慮すべき条件は​他にも​あります。​ただし、​ この​記事だけで​具体的な​設計数値を​断定する​ことは​できません。​実際の​設計・​選定では、​ 必ず​最新の​パネル・PCS仕様書、​メーカーの​設計基準を​確認してください。

PCSの​交換場面でも​同様の​考え方が​必要です。​詳しくは​ PCS交換時に​施工会社が​確認する​項目 も​あわせて​ご覧ください。

4. 現地調査の​精度が​工事品質と​利益を​左右する

太陽光工事では、​現地調査​(現調)の​不足が、​追加材料・追加人工・工程遅延・設計変更・ 施工不能・赤字工事に​つながることがあります。

確認しておきたい​項目の​例です。

  • 屋根・土地・設置場所の​状況
  • 既設受電設備
  • 分電盤・キュービクル
  • 配線ルート
  • ケーブル長
  • PCS設置場所
  • 通信環境
  • 搬入経路
  • 高所作業の​条件
  • 重機の​要否
  • 接地
  • 既設図面
  • 電力契約の​内容
  • 現場写真

「写真数枚だけで​見積する」ことには​リスクが​あります。 現地でしか​分からない​ 条件​(配線ルートの​取り回し、​搬入経路の​制約など)を​見落とすと、​着工後に​追加費用や​ 工程の​見直しが​発生しやすくなります。

5. 太陽光用の​測定器を​揃える

太陽光の​施工・メンテには​専用の​測定器が​必要に​なりますが、最初から​高額な​診断機器を​ すべて​揃える​必要は​ありません。

まずは​次のような​基本的な​測定器から​始めるのが​現実的です。

  • AC/DCクランプメータ
  • デジタルマルチメータ
  • PV設備に​対応した​絶縁抵抗計
  • 接地抵抗計

事業の​幅が​広がるに​つれて、​サーモグラフィ、​太陽光専用診断機器、​I-V特性測定機器など​ へ​拡張していく、と​いう​順序で​考えると​よいでしょう。​測定器の​詳しい​選び方は​ 太陽光施工・メンテで​本当に​必要な​測定器 の​記事で​用途別に​整理していますので、​あわせて​ご覧ください。

6. 系統連系・申請を​「工事の​後」に​考えない

太陽光は​施工だけで​完結しません。​電力会社との​系統連系、​設備変更、​出力制御、​認定関連、​ 各種届出、​設備条件など、​案件に​よっては​さまざまな​手続きが​関係します。

ここで​重要な​注意点が​あります。 制度、​設備規模、​地域、​電力会社、​案件内容等に​ よって​必要な​手続きは​異なる​ため、​「○○なら​必ず​この​申請が​必要」​「この​工事なら​申請 不要」と​いった​一律の​断定は​できません。

施工前の​段階で、「誰が​何の​申請を​担当するのか」を​明確に​しておく​ことが​重要です。​ 自社で​対応するのか、​施主・​メーカー・商社等が​担当するのかを​事前に​整理してください。​ また、​制度や​手続きは​変わる​ことが​ある​ため、​最新の​関係機関・​電力会社等の​情報を​ 都度確認するように​してください。

7. ​「設置して​終わり」ではなく​発電確認まで​考える

工事が​完成し、​PCSが​起動して​系統に​連系した​——それだけで​工事完了と​考えない​ことが​ 大切です。

可能な​範囲で、​PCSごとの​発電状況、​MPPT・ストリング単位の​電圧・電流、​監視システムの​ 表示、​エラーの​有無、​通信状態、​他の​PCSとの​比較などを​確認し、​異常が​ないかを​見る​ と​いう​考え方を​持ってください。

PCSごとの​発電量に​差が​ある​場合の​切り分け方は​ PCSごとに​発電量が​違う​ときの​確認ポイント で​詳しく​解説しています。​また、​無料ツール 発電異常チェック の​施工・メンテ向けモードも、​状況整理に​活用できます。

8. メンテナンスまで​考えると​事業が​強くなる

太陽光は​施工後も、​PCS故障、​通信異常、​発電量低下、​パネル異常、​ケーブル・コネクタの​ 不具合、​雑草、​影、​絶縁・地絡、​経年劣化など、​さまざまな​相談が​発生します。

施工だけを​請け負う​形では、​案件ごとの​単発売上に​なりやすい​一方、​点検・メンテナンス・​ 発電診断・PCS交換まで​対応できる​体制が​あると、​施工後も​お客様との​関係が​続きやすく​ なります。​発電量が​低下した​ときに​確認すべき内容は​ 太陽光の​発電量が​落ちた​とき、​最初に​確認する​7項目 で​整理していますので、​参考に​してください。

な​お、​メンテナンス対応を​「必ず​儲かる」​「ストック収益に​なる」と​過度に​期待するのは​ 禁物です。​あくまで、​施工後の​関係​構築や​信頼に​つながる、と​いう​位置づけで​捉える​ことを​ おすすめします。

9. 仕入れ・保証・​メーカーサポートを​確認する

太陽光事業では、​機器価格だけで​仕入先を​決めない​ことも​重要です。

確認しておきたい​項目の​例です。

  • 正規流通品か​どうか
  • メーカー保証の​内容
  • 保証条件
  • 施工店条件​(認定施工店限定等)
  • 故障時の​問い合わせ窓口
  • 交換対応
  • 国内サポート体​制
  • 納期
  • 仕様書・施工マニュアルの​有無
  • 技術的な​問い合わせ対応
  • 廃番時の​対応

安価な機器を​仕入れても、​故障が​発生した​ときに​施工会社が​すべてを​抱える​ことになれば、​ かえって​利益を​失う​可能性が​あります。​特定メーカーを​無条件に​おすすめする​ことや、​ 古い​廃番製品を​すすめる​ことは​この​記事では​行いません。​仕入先・​メーカーの​選定は、​ 価格だけでなく​保証・サポート体​制まで​含めて​検討してください。

10. 見積・​契約で​責任範囲を​明確に​する

太陽光工事では、​「どこまでが​見積に​含まれているか」を​明確に​しておくことが​重要です。

  • 現地調査
  • 設計
  • 電力申請
  • 認定関係
  • 機器
  • 施工
  • 重機
  • 足場
  • 通信・監視設定
  • 試運転
  • 竣工資料
  • 保証
  • メンテナンス
  • 追加工事

また、​元請・下請・​メーカー・申請担当など、​関係​者間の​責任分界を​明確に​しておくことも​ 大切です。​契約や​法令に​関する​内容は​案件ごとに​事情が​異なる​ため、​この​記事では​特定の​ 案件に​対する​法的な​助言は​行いません。​必要に​応じて、​契約や​法務の​専門家にも​ご相談 ください。

太陽光事業を​始める​前の​準備チェック

ここまでの​内容を、​着手前の​準備チェックと​して​整理すると​次のようになります。

  • 自社が​担当する​業務範囲を​決める
  • DC・ストリング・MPPTの​基礎を​理解する
  • 仕入先・​メーカーを​確保する
  • 必要な​測定器を​準備する
  • 現調項目を​標準化する
  • 見積書の​項目を​整理する
  • 申請担当を​明確に​する
  • 試運転・発電確認の​方法を​決める
  • 保証・故障対応フローを​確認する
  • メンテナンス対応範囲を​決める

まとめ:施工力を​ベースに​対応範囲を​広げる

電気工事会社は、​すでに​「電気を​安全に​施工する」と​いう​大きな​基礎を​持っています。​ 一方で​太陽光には、​DC・ストリング・MPPT・PCS・発電診断・​系統連系など、​太陽光 特有の​知識が​必要です。

最初から​「全部​できる​会社」を​目指す必要は​ありません。自社の​施工力を​ベースに、​ 必要な​知識・機器・​協力先を​少し​ずつ​増やしながら、​対応範囲を​広げていくと​いう​形が、​ 現実的な​進め方です。

太陽光設備の​施工・点検・発電診断に​ついて​分からない​ことがある​場合は、​お困りごと​ 相談窓口も​ご利用ください。

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