測定器を使用する様子

工具・測定器

太陽光施工・メンテで​本当に​必要な​測定器|用途別の​選び方

太陽光の​施工・メンテナンス・発電診断で​使う​測定器を​「何を​確認したいか」から​整理し、​用途別に​選び方を​まとめました。

読了目安 7分
施工・メンテで使う工具類

太陽光の​施工・メンテナンス・発電診断では、​さまざまな​測定器が​使われます。​ ただ、​最初から​高価な​測定器を​すべて​そろえる​必要は​ありません。

大切なのは、

  1. 何を​確認したいのか
  2. その​ために​何を​測る​必要が​あるのか
  3. その​測定に​適した​測定器は​どれか

と​いう​順番で​考える​ことです。​この​記事では​「おすすめランキング」ではなく、​この​考え方に​沿って、​ 用途別に​測定器を​整理します。

安全に関する注意

電気設備・太陽光設備の​測定には、​感電や​アーク放電などの​危険が​伴う​場合が​あります。​ 測定を​行う際は、​有資格者が、​設備条件・​メーカーの​施工要領・安全基準等を​確認したうえで​ 実施してください。

本記事は​測定器の​種類・​選び方を​紹介する​ものであり、​活線状態での​測定作業や、​ 分電盤・パワーコンディショナ内部の​作業を​ご自身で​行う​ことを​推奨する​ものではありません。

測定器を​そろえる​前に​:4つの​ステップ

測定器選びで​失敗しないためには、​次の​4ステップで​考える​ことを​おすすめします。

  1. 自社が​受ける​仕事を​決める(施工だけか、​メンテまで​行うか、​発電診断まで​行うか)
  2. その​仕事で​必要に​なる​測定項目を​整理する(電流?​電圧?​絶縁?​温度?)
  3. その​測定に​適した​測定器を​選ぶ(用途に​合った​仕様の​ものを​選ぶ)
  4. 仕事が​増えたら、​その​タイミングで​専門機器を​追加する

「高い​測定器を​全部​そろえてから​仕事を​取る」のではなく、​「仕事の​内容に​合わせて​測定器を​増やす」 と​いう​順番の​ほうが、​無駄な​投資を​避けられます。​この​記事の​後半では、​仕事の​レベルに​応じた​ 測定器の​目安も​紹介します。

1. AC/DCクランプメータ

何を​確認したい​ときに​使うか

  • AC電流を​確認したい​とき
  • DCストリング電流を​確認したい​とき
  • PCS間・ストリング間で​発電量に​差が​ないか​比較したい​とき
  • 発電不良の​原因を​ストリング単位で​切り分けたい​とき

クランプメータは、​配線を​切断せずに​電流を​はさんで​測定できる​ため、​太陽光の​現場では​ 最も​出番の​多い​測定器の​ひとつです。

選定の​ポイント

  • DC電流に​対応しているか(太陽光では​AC専用クランプでは​測れない​場面が​多く​あります)
  • 測定可能な​電流レンジ(現場で​扱う​電流値を​カバーしているか)
  • 対応電圧(システム電圧に​対して​十分な​定格が​あるか)
  • 測定カテゴリー(CAT区分。​太陽光設備の​使用環境に​適合しているか)
  • クランプ形状・開口径(配線・ケーブル径に​対して​使いやすいか)
  • 屋外での​使用性(防塵防水性能、​現場での​取り回しやすさ)
  • 記録・通信機能の​有無(データロギングやスマホ連携が​必要か​どうか)

代表的な​製品例と​しては、​HIOKI CM4375-50 のような​DC電流対応クランプメータが​あります ​(型式は​一例であり、​必要な​仕様は​現場条件に​合わせて​確認してください)。

2. デジタルマルチメータ​(DMM)

何を​確認したい​ときに​使うか

  • DC電圧を​確認したい​とき
  • AC電圧を​確認したい​とき
  • 抵抗・導通を​確認したい​とき
  • 極性​(+/-)を​確認したい​とき

DMMは​電気工事全般で​使う​基本測定器ですが、​太陽光設備では​直列接続に​より​高い​DC電圧が​ 発生する​点に​注意が​必要です。

選定の​ポイント

太陽光設備は​高DC電圧を​扱うことが​ある​ため、​単純な​「最大測定電圧」の​数値だけでなく、​ 測定カテゴリー​(CAT区​分)​や​メーカーが​公表する​定格・仕様を​必ず​確認してください。 表示上の​最大電圧だけで​安全性を​判断しない​ことが​重要です。

代表的な​製品例と​しては、​HIOKI DT4261 のような​モデルが​あります​(同様に、​実際の​選定は​ 現場の​電圧条件に​合わせて​確認してください)。

3. PV設備対応絶縁抵抗計

何を​確認したい​ときに​使うか

  • 絶縁性能を​確認したい​とき
  • 地絡・絶縁異常の​可能性を​切り分けたい​とき
  • PCSが​絶縁系の​エラーを​表示した​ときの​確認

な​ぜ​「PV対応」であることが​重要か

太陽光設備は、​日射が​ある間は​パネルが​発電を​続けている​ため、​通常の​電気設備とは​異なり 測定中も​DC電圧が​発生し続けます。 一般的な​絶縁抵抗計を​そのまま​使うと、​この​点を​ 考慮していない​場合が​ある​ため、​PV設備での​使用を​想定した​絶縁抵抗計を​選ぶことが​重要です。

代表的な​製品例と​しては、​KEW 6024PV のような​PV対応モデルが​あります。​また、​PV絶縁・通常絶縁・​ 接地・電圧測定などを​1台で​こなせる​複合機と​いう​タイプも​選択肢の​ひとつです。​取り扱う​現場の​幅に​ 応じて​検討すると​よいでしょう。

4. 接地抵抗計

何を​確認したい​ときに​使うか

  • 接地抵抗を​確認したい​とき​(施工時・定期点検時)

接地抵抗計は、​施工完了時の​確認だけでなく、​定期点検でも​継続的に​使用する​測定器です。​ 代表的な​製品例と​しては、​HIOKI FT6031-50 のような​モデルが​あります。

5. サーモグラフィ

何を​確認したい​ときに​使うか

  • パネル面の​温度偏差を​確認したい​とき
  • ホットスポットの​有無を​確認したい​とき
  • 端子・接続部の​異常発熱を​確認したい​とき
  • 電気設備​(盤内・接続部等)の​発熱を​確認したい​とき

判断する​ときの​注意点

サーモグラフィで​温度が​高く​映った​箇所が​あっても、「温度が​高い​=即故障」と​断定は​できません。 日射の​強さ、​影の​有無、​負荷状況、​撮影角度・距離と​いった​撮影条件に​よって​見え方が​変わる​ため、​ これらの​条件を​踏まえたうえで​判断する​必要が​あります。​単発の​画像だけで​結論を​出さず、​ 条件を​そろえた​比較や、​他の​測定結果と​あわせて​確認する​ことを​おすすめします。

代表的な​製品例と​しては、​FLIR C5 のような​ハンディタイプの​モデルが​あります。

6. 太陽光専用診断機器

クランプメータや​DMMなどの​基本測定器で​切り分けが​難しい​発電不良に​ついては、​太陽光専用の​ 診断機器を​使う​ことで、​より​詳しい​調査が​できる​場合が​あります。

より​詳しい​発電診断を​行う​会社が​使う​専門測定器の​一例と​して、​アイテス社の​「ソラメンテ-Z」​ ​「ソラメンテ-iS」のような機器が​あります。​こうした機器は、

  • 異常ストリングの​絞り込み
  • 不具合パネルの​特定
  • 発電不良の​詳細調査

と​いった​用途で​使われます。

これらは、施工会社が​最初から​全社で​購入するような機器ではなく、​O&M会社・専門メンテ会社・ 発電診断を​専門に​行う​会社などに​とって​特に​利用価値が​高い機器と​いう​位置づけです。​取り扱う​案件数や​ 専門性に​応じて、​購入だけでなく、​レンタルを​選択肢に​入れて​検討する​こともできます。

7. 高度な​発電性能診断機器

さらに​詳しい​発電性能の​診断が​必要な​場合、​I-V特性測定​(電流-電圧​特性の​測定)のような、​より​ 専門的な​測定・​診断が​行われる​ことがあります。

こうした​高度な​診断機器は、​特定の​製品を​ここで​おすすめする​ことはしません。​機種に​よっては​ 生産終了・仕様変更が​発生する​こともある​ため、​導入を​検討する​際は、​その​時点での​最新の​製品情報を​ メーカー等に​確認してください。

考え方と​して​重要なのは、高価な​専門機器を​最初から​すべて​自社で​購入する​必要は​ないと​いう​ ことです。​仕事量や​案件の​専門性に​応じて、

  • 自社で​購入する
  • 必要な​ときだけレンタルする
  • 専門の​診断会社と​連携する

と​いった​選択肢を​組み合わせて​検討する​ことを​おすすめします。

仕事の​レベルに​応じた​測定器の​目安

自社が​どこまでの​仕事を​行うかに​よって、​必要な​測定器の​目安は​変わります。

レベル1:​これから​太陽光施工を​始める

  • デジタルマルチメータ​(DMM)
  • AC/DCクランプメータ
  • PV設備対応絶縁抵抗計
  • 接地抵抗計

レベル2:メンテナンスまで​行う

レベル1の​測定器に​加えて、

  • サーモグラフィ
  • 記録・通信機能の​ある​測定器​(点検記録の​管理が​しやすくなります)

レベル3:発電診断まで​行う

レベル2の​測定器に​加えて、

  • ソラメンテなどの​太陽光専用診断機器
  • I-V特性測定などの​専門的な​発電性能診断機器

まとめ:高い​測定器を​全部​買う​前に

測定器選びで​大切なのは、​次の​順番で​考える​ことです。

  1. 自社が​受ける​仕事を​決める
  2. 必要な​測定項目を​整理する
  3. その​測定に​適した​測定器を​選ぶ
  4. 仕事が​増えたら、​その​タイミングで​専門機器を​追加する

「とりあえず​高い​測定器を​全部​そろえる」のではなく、​今の​仕事に​必要な​測定器から​順に​そろえ、​ 案件が​増えるに​つれて​レベル2、​レベル3の​機器を​検討していく​ことを​おすすめします。

発電不良で​何を​確認すれば​いいか​分からない​場合

「どの​測定器が​必要か​以前に、​まず​何を​確認すれば​いいか​分からない」と​いう​場合は、​ 無料の​「発電異常チェック」で​状況を​整理する​こともできます。

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