「発電量が昨日より少ない」「思ったより発電していない」と感じたとき、すぐに 「パネルが故障したのでは」と考えてしまいがちです。ですが、太陽光の発電量は 天候・季節・気温などによっても日々変動するため、それだけでは故障とは判断できません。
大切なのは、「何と比較して少ないのか」を整理することです。この記事では、 発電量が低下したと感じたときに最初に確認したい項目を、順番に沿って7つに整理しました。 電気の専門知識がない方でも読めるように書いていますが、施工会社・メンテナンス会社の方が 現場に向かう前の状況整理としてもお使いいただけます。
なお、この記事は目視や画面確認など、安全に確認できる範囲の内容にとどめています。 分電盤やパワーコンディショナ内部の点検・電気設備に触れる作業は、必ず有資格者・専門業者に 依頼してください。
1. まず天候と比較する
発電量は、晴天・曇天・雨天によって大きく変わります。次のような点を確認してみてください。
- 今日は晴天か、曇天か、雨天か
- 前日と比べて天候に差はなかったか
- 同じくらいの時期(先月・去年の同じ月など)と天候条件は近いか
- 可能であれば、日射量の情報(気象データや遠隔監視の日射量表示など)
「前日より少ない」というだけで判断せず、まずは天候条件をそろえて比較することが大切です。 また、「去年の同じ月より20%少ない」といった場合も、その期間の天候条件(日照時間や 曇りの日の多さなど)が異なっている可能性があるため、天候差を考慮したうえで判断してください。
2. 発電所全体が低いのか、一部だけ低いのか
複数のパワーコンディショナ(PCS)がある発電所では、発電所全体が低いのか、 特定のPCSだけが低いのかを区別することが、その後の確認の方向性を大きく左右します。
たとえば、次のようなケースを考えてみます。
| PCS | 発電量 |
|---|---|
| PCS1 | 45kW |
| PCS2 | 46kW |
| PCS3 | 22kW |
| PCS4 | 45kW |
この場合、PCS3だけが他と比べて明らかに低いため、発電所全体の問題というより、 PCS3側に絞って確認できる可能性がある、という考え方ができます。
ただし、ここで注意したいのは、PCSごとに次のような条件が異なる場合、もともとの発電量に 差があること自体は珍しくないという点です。
- PCSごとの接続容量
- 接続されているパネルの枚数
- パネルの設置方位
- 影の影響
- 設備の仕様・機種
そのため、「数字に差がある=そのPCSが故障している」とすぐに断定せず、まずは 「もともとの条件が同じくらいのPCS同士を比較しているか」を確認してください。
3. PCSや遠隔監視にエラー・停止表示がないか
次に、安全に確認できる範囲で、PCSや遠隔監視の画面を確認します。
- 遠隔監視サービスの画面に、異常・停止等の表示が出ていないか
- PCS本体の、通常操作で見える範囲の表示(運転中・停止中などのランプやメッセージ)
- メーカーが公開しているエラーコード一覧に該当する表示が出ていないか
- 停止履歴が残っていないか
もしエラーコードが表示されている場合、ご自身でPCSを分解したり、無理に電源の 入り切りを繰り返したりしないでください。 エラーコードの意味は、まずメーカーの 取扱説明書や公開資料で確認し、それでも分からない場合は施工会社・メンテナンス会社に 問い合わせるという流れが安全です。
4. 発電停止なのか、発電量低下なのか
状況を整理するうえで、次のどのパターンに近いかを区別しておくと、その後の確認が スムーズになります。
- A:完全に0になっている(発電所全体が発電していない)
- B:発電はしているが、以前より少ない
- C:特定のPCSだけ0になっている
- D:時間帯によって止まる
たとえば「常にA」であれば発電所全体・共通設備側の確認が必要になりやすく、「Cのように 特定PCSだけ0」であれば2章のようにそのPCS側に絞って確認できる可能性が高くなります。 「Dのように時間帯で止まる」場合は、後述する出力制御などの可能性も含めて確認する ことになります。どのパターンに近いかをメモしておくと、後で専門業者に相談する際にも 役立ちます。
5. 目視できる範囲で影・雑草・汚れ・積雪等を確認
安全な場所(地上や敷地内の通路など)から、目視できる範囲で確認できることもあります。
- 雑草がパネルに影を作っていないか
- 新しく建物や樹木の影ができていないか(成長した木、近隣の新築等)
- 大量の汚れ、鳥のふん等がないか
- 積雪が残っていないか
- 明らかなパネルの破損(割れ、変色等)がないか
屋根に上る、パネルを取り外す、電気設備に触れるといった行為は行わないでください。 あくまで、安全な場所から見て分かる範囲の確認にとどめます。また、多少の汚れが あるからといって、それだけを発電量低下の原因と決めつけないようにしてください。 汚れの影響は多くの場合、限定的です。
6. 出力制御・系統側の影響がないか
発電設備そのものが故障していなくても、次のような理由で、一時的に発電量が 抑えられることがあります。
- 出力制御(電力会社の求めに応じて発電を抑制する仕組み)
- 系統(電力会社の送配電網)側の状況
- PCS自体の制御動作
- 電圧上昇時にPCSが出力を抑える動作
こうした制度や技術の詳細は複雑なため、この記事では深く扱いません。ご自身で 判断がつかない場合は、遠隔監視の履歴、PCSの動作履歴を確認したうえで、 電力会社・施工会社・メンテナンス会社に確認するとよいでしょう。
無料で発電異常チェックをするここまでの1〜6項目を、実際に自分の状況に当てはめながら整理したい場合は、上記の 無料ツール「発電異常チェック」もあわせてご利用ください。いくつかの質問に答える形で、 確認の優先順位を整理できます。
7. ここまでで分からなければ専門点検へ
1〜6項目を確認しても原因がはっきりしない場合、大切なのは 「故障箇所をご自身で触って探す」のではなく、ここまでの情報を整理して専門会社に 伝えることです。情報が整理されているほど、調査がスムーズに進みます。
相談する際に伝えるとよい情報の例です。
- 発電所の容量
- PCSのメーカー・型式
- PCSの台数
- いつから発電量が低下したか
- 発電所全体か、一部(特定PCS)か
- PCSごとの発電量(分かる範囲で)
- 表示されているエラーコード(あれば)
- 前年同時期との比較
- 遠隔監視の有無
これらをあらかじめメモしておくと、専門会社に相談したときに状況を伝えやすくなり、 調査もスムーズになります。
まとめ
発電量の低下に気づいたときは、いきなり「故障」と判断するのではなく、
- 天候と比較する
- 発電所全体か一部かを確認する
- PCS・遠隔監視のエラー表示を確認する
- 発電停止か発電量低下かを区別する
- 目視できる範囲で外的要因を確認する
- 出力制御・系統側の影響がないか確認する
という順番で状況を整理し、それでも分からない場合に専門会社へ相談する、という流れを おすすめします。
「チェックしても原因が分からない」「PCSごとの差が大きい」「エラーが出ている」といった 場合は、無理に自己判断せず、お困りごと相談窓口もご利用ください。


