パワーコンディショナ等の電気設備

機器選定

PCS交換時に​施工会社が​確認する​項目|現調・機器選定チェック

PCS交換は​「同容量なら​交換可能」とは​限りません。​施工・メンテ実務者向けに、​現地調査から機器選定までの​確認項目を​整理しました。

読了目安 7分
電気工事を行う技術者

パワーコンディショナ​(PCS)が​故障・​廃番に​なった​とき、​「既設と​同じ​kW数の​PCSに​ 交換すればよい」と​考えてしまいがちですが、​実際には定格容量が​同じである​ことは​ 「交換可能」を​意味しません。 パネル側の​電圧・電流条件、​MPPT構成、​AC側設備、​ 系統連系条件、​設置環境、​監視システムなど、​確認すべき項目は​多岐に​わたります。

この​記事は、​電気工事会社・太陽光施工会社・O&M/メンテ会社など、​実際に​PCS交換の​ 現地調査​(現調)​・機種選定を​行う​実務者向けに、​確認すべき項目を​順を​追って​整理した​ ものです。​高電圧の​DC回路や​活線、​盤内作業を​伴う​ため、​必ず​有資格者が、​社内の​安全 手順・​メーカーの​施工要領・関係​法令に​従って​作業してください。

1. PCS交換で​最初に​確認する​こと

まず、​既設PCSの​情報を​整理します。

  • メーカー
  • 型式
  • 定格出力
  • 単相/三相
  • 連系電圧
  • 設置台数
  • 製造年
  • 故障内容
  • エラーコード
  • 現在の​監視システム

これらを​確認するうえで、既設PCSの​銘板・仕様書・単線結線​図が​重要な​情報源に​ なります。​写真だけでなく、​可能であれば​仕様書や​結線図の​現物・​データも​確認して​ ください。

繰り返しに​なりますが、​「既設PCSと​同じ​容量の​機種を​探す」だけでは​情報と​して​不十分 です。​この​後の​章で​確認する​項目まで​含めて、​はじめて​交換可否を​判断できます。

2. 太陽電池側の​確認

次に、​接続されている​太陽電池​(パネル)​側の​条件を​確認します。

  • パネルメーカー
  • パネル型式
  • 1枚あたりの​Voc​(開放電圧)
  • Vmp​(最大出​力動作電圧)
  • Isc​(短絡電流)
  • Imp​(最大出​力動作電流)
  • ストリングあたりの​直列枚数
  • ストリング本数
  • MPPT構成
  • PCS1台あたりの​接続容量
  • 方位
  • 傾斜

このうち、​特に​重要なのが​次の​3点です。

最大入力電圧:低温時には​パネルの​Vocが​上昇します。​ストリングの​直列枚数から​ 算出される​最大電圧が、​交換先PCSの​最大入力電圧を​超えない​ことを​確認する​必要が​ あります。

MPP​T動作電圧範囲:ストリングの​Vmpが、​交換先PCSの​MPP​T動作電圧範囲に​入って​ いる​ことを​確認します。

最大入力電流:既設パネル・​並列ストリング構成に​対して、​交換先PCSの​MPPT入力 電流・短絡電流条件を​満たしている​ことを​確認します。

ここで​挙げた​考え方は​あくまで​確認の​切り口であり、​この​記事だけで​具体的な​安全設計値を​ 断定する​ことは​できません。最終的には、​パネル・PCS双方の​最新の​仕様書、​メーカーの​ 設計条件を​確認してください。

3. MPPT数・​入力回路数の​確認

交換先PCSの、

  • MPPT数
  • 1MPPTあたりの​入力回路数
  • 許容入力電流

が、​既設の​ストリング構成に​合っているかを​確認します。

既設PCSから​新しい​PCSに​変更する​際、​次のような​問題が​起こる​可能性が​あります。

  • 端子数が​足りない
  • 今まで​別々の​MPPTだった​ストリングを、​まとめる​必要が​出てくる
  • 方位・​枚数が​異なる​ストリングを、​同一MPPTへ​入れてしまう

方位・傾斜・ストリング枚数等が​異なる​ストリングを、​安易に​同一MPPTへ​まとめない ように​してください。​動作点の​ずれに​よって​発電量に​影響が​出る​可能性が​あります。

4. AC側の​確認

DC側だけでなく、​AC側の​設備条件も​確認します。

  • 単相/三相
  • 出力電圧
  • 定格出力電流
  • 既設ブレーカ容量
  • 配線サイズ
  • 接地方式
  • 既設盤との​接続方法
  • PCS台数変更時の​幹線容量

PCS​その​ものの​容量だけでなく、既設の​AC設備との​整合性を​確認する​必要が​あります。​ 特に​PCSの​台数や​配置が​変わる​場合は、​幹線容量にも​影響が​出る​ことがあります。

5. 系統連系・​出力制御の​確認

系統連系・​出力​制御まわりの​条件も​確認が​必要です。

  • 系統連系条件
  • 契約している​電力会社
  • 出力制御への​対応状況
  • 遠隔出力制御・オンライン代理制御等、​既設の​条件
  • PCS変更に​伴う​申請の​要否
  • 既設の​認証・設備条件

制度や​電力会社、​設備条件に​よって​必要な​手続きは​異なります。「PCS交換なら​ 必ず申請不要」​「同容量なら​そのまま​交換できる」と​いった​断定は​できません。 最新の​電力会社・関係機関・​メーカー情報を​確認したうえで​判断してください。

6. 設置環境の​確認

設置場所の​条件も、​機種選定に​影響します。

  • 屋内/屋外
  • 壁掛け/自立
  • PCS寸法
  • 重量
  • 取付ピッチ
  • 離隔距離
  • 周囲温度
  • 換気
  • 直射日光
  • 塩害
  • 積雪
  • 標高
  • 防塵防水性能​(IP等級等)

後継機種であっても、​寸法・​重量・端子位置等が​既設機と​異なる​ことが​あり、​架台の​ 加工、​配線の​延長、​盤の​改造、​基礎の​変更等が​必要に​なる​可能性が​あります。

7. 監視システム・通信の​確認

発電自体が​正常でも、​監視面で​問題が​起こる​ことがあります。

  • 既設の​監視装置
  • RS485等の​通信方式
  • メーカー独自の​監視システム
  • データロガー
  • インターネット通信の​方式
  • PCS交換後も​既設の​監視システムが​そのまま​使えるか

「PCSは​正常に​発電しているが、​監視できなくなった」と​いう​状態は、​運用上​大きな​ 問題に​なり得ます。​交換前に​監視面の​互換性も​確認してください。

発電量​その​ものの​見え方に​違和感が​ある​場合は、​ 発電量が​落ちた​ときに​確認する​7項目や、​ PCSごとの​出力差の​切り分け方 も​あわせて​ご確認ください。

8. 保証・​メーカーサポートの​確認

機種選定の​最終段階では、​保証・サポート面も​確認します。

  • 製品保証の​内容
  • 保証期間
  • メーカーの​国内サポート体​制
  • 交換部品の​供給
  • 修理対応
  • 施工店要件​(認定施工店限定等)
  • 保証開始条件
  • 遠隔監視の​有無

単純な​購入価格だけで​PCSを​選ばず、​保証・サポート体​制まで​含めて​検討してください。​ な​お、​この​記事では​特定の​製品を​「おすすめ」と​して​掲載する​ことはしません。​ 古い​廃番製品を​具体的な​推奨製品と​して​案内する​こともしません。

9. 現地調査チェックリスト

現地調査​(現調)で​使える​チェックリストです。​現場の​状況に​応じて、​必要な​項目を​ 整理してお使いください。

既設PCS

  • メーカー
  • 型式
  • 定格容量
  • 電圧
  • 単相/三相
  • 台数
  • エラー内容
  • 銘板写真

太陽電池

  • パネルメーカー/型式
  • Voc/Vmp
  • Isc/Imp
  • 直列枚数
  • ストリング数
  • MPPT構成

AC側

  • ブレーカ容量
  • ケーブルサイズ
  • 系統電圧
  • 盤構成

その​他

  • PCS設置寸法
  • 通信/監視
  • 系統連系条件
  • 出力制御
  • 図面
  • 設備認定関連資料

測定器を​使って​現地の​数値を​確認する​場合は、​ 太陽光施工・メンテで​必要な​測定器 の​記事も​あわせて​ご参照ください。

10. PCS交換判断の​流れ

ここまでの​内容を、​確認の​流れと​して​整理すると​次のようになります。

  1. 既設PCSの​確認
  2. パネル・ストリングの​確認
  3. DC入力条件の​確認
  4. MPPT構成の​確認
  5. AC側の​確認
  6. 系統・​制御の​確認
  7. 設置環境の​確認
  8. 監視・保証の​確認
  9. 候補PCSの​選定

この​順番で​確認していく​ことで、​「定格容量が​同じだから」と​いう​理由だけで​PCSを​ 選ばず、​既設設備全体との​整合性を​踏まえた​選定が​できます。

な​お、​この​記事は​PCS交換に​おける​確認の​考え方を​整理した​ものであり、​ 「この​条件なら​必ず交換可能」と​いう​判断を​下す​ものではありません。​最終的な​適合 可否は、​最新の​メーカー仕様書・施工マニュアル・​電力会社の​条件・関係法令・現地の​ 設備状況を​確認したうえで​判断してください。

ストリング構成まで​含めた​状況整理には、​無料ツール 発電異常チェック の​施工・メンテ向けモードも​あわせて​ご利用いただけます。

PCS交換の​ご相談

「PCSが​故障しているが、​既設パネルに​適合する​交換機種が​分からない」 ​「既設PCSが​廃番で、​後継機種を​探している」​ ​「ストリング構成まで​含めて​交換可否を​確認したい」

と​いった​場合は、​お困りごと​相談窓口も​ご利用ください。

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